こんにちは、まんぷくケアプランのまんぷくです(●´ω`●)
高校時代、僕は学費を払うためにバイトをしながら、空いた時間で弓道をしていました。
通っていた高校には弓道場がなかったので、近くの一般の弓道場をお借りして、数名の高校生が部活として練習をしていたんです。
一点の雲なし
土曜日や日曜日の朝一番。
まだ誰もいない道場で、僕が一人で黙々と弓を引いていると、
奥から両手を後ろで組んだ小柄なおばあさんがゆっくり歩いて出てこられるんですよね。
その方が道場の主であり、僕らの“師匠”のような存在でした。
的を射ると「パン!」と響く音。
それを合図に出てこられるのか、空を見上げて第一声が決まってこうです。
「一点の雲なし。」
失礼ながら、これがもう可愛くて仕方がないんです(●´ω`●)
そのあと、僕の射をじっと見て、何も言わずにエアーで弓を引く動作をしながら、
短く「ピシャっ」とだけ言うんです。
目を合わせるわけでもなく、でも背中からは「わかるな?」という空気が伝わってくる。
僕は思わず「はいっ!」と返事をして、また弓を構える。
そのやり取りが、どうしようもなく好きでした。
「ピシャっ」に込められた指導
「ピシャっ」には、ものすごく多くの意味が込められています。
左手で押し込み、右手は力を抜き、胸を張り、目線は的へ――
ひとつの言葉の中に、10個も20個も指導が詰まっている。
それは理屈ではなく、感覚で伝わるものなんです。言葉を超えて、身体の芯に染み込むような“学び”でした。
今になって思えば、巨人の長嶋茂雄監督の「スッと」「グっと」「バァーーって」とかいうのも、きっとこんな感じだったんだろうなと思います(笑)
言葉の奥にある「意味」
ケアマネとして現場にいると、この“ピシャっ”の感覚を思い出すことがあります。
言葉の表面だけではなく、その奥にある思いを読み取ることの大切さです。
例えば、ご家族が「いや、今は何とかやれてますので……」と話されたとします。
その言葉の中には、
「でも本当はもう限界に近い」
「しんどいけど、今は頼れない」
そんな複数の思いが混ざっていることがあります。
表面上は“何とかやれている”けれど、心の中では“もうすぐ限界”ということもある。
深掘りしすぎない勇気
ケアマネは、そこを深掘りしていくこともありますが、
あえて深掘りしないほうがいい時もあります。
というのも、言葉が不安を生むことがあるからです。
「もしかして、○○という不安があるんじゃないですか?」と聞くことで、
本当はなかった不安を“意識させてしまう”こともある。
それは支援ではなく、不安の創造になってしまうこともあるんですよね。
だからこそ、焦らず少しずつ。
一つひとつの言葉を分解して、確認して、丁寧に答えを探していく。
それが一番確実な支援の形だと思っています。
そして時には、「今日はこれくらいでいいか」と区切る勇気も大切だなと感じています。
「ピシャっ」の中に答えがある
つまりケアマネの仕事は、
利用者さんやご家族の“ピシャっ”の中から解を見つけていくこと。
そして、その答え合わせを一緒にしていくことだと思うんです。
短い言葉に込められた思いを感じ取り、
焦らず、押しつけず、寄り添いながら。
「わかるな?」
と背中で語られてもわからないこともあると思いますが、それでも理解できるようこれからも「ピシャっ」を極めていきたいです🍀
★おまけ★
快晴をみるとおばあさんを思い出すんですよね
「一点の雲なし」