こんにちは、まんぷくケアプランのまんぷくです(●´ω`●)
今回は「認知症の方への対応」について、ケアマネジャーとしての経験からお話していきます。
私自身、これまで何千人もの認知症の方とそのご家族に関わってきました。その中で見えてきた“家族が少し楽になる考え方”を中心にお伝えします。
目次
🧠認知症は病気です
「そんなの知ってるよ」と思われる方も多いでしょう。
でも実際には、この“当たり前”を忘れてしまっているご家族が少なくありません。
認知症は、加齢による物忘れとはまったくの別物です。
🔹加齢による物忘れ
- 「昨日の夕飯、何だったっけ?」と一部を思い出せない
🔹認知症による記憶障害
- 「昨日の夕飯?食べてないよ?」と出来事そのものを忘れてしまう
つまり、認知症では「エピソードごと抜け落ちる」のです。
さらに、記憶だけでなく「見当識(時間や場所の感覚)」「判断力」「計画性」などにも影響します。
この状態が日常生活に支障をきたすほど進むと“認知症”と診断されます。
『認知症とは、記憶や見当識などの認知機能が日常生活に支障を来すほど異常になった状態を指す』
(出典:国立長寿医療研究センター)
📝認知症を引き起こす原因疾患は100種類以上もある
認知症というのは総称であって、代表的なものは
・アルツハイマー型認知症
・脳血管性認知症
・レビー小体型認知症
・前頭側頭型認知症
これらが「認知症」のなかの約90%を占めています。
特にアルツハイマーは70%以上を占めるのでとても有名ですよね。
これらは、専門医による問診や神経心理学検査(認知機能検査)、脳画像診断によって判断されます。
脳の萎縮が原因であったり、一時的な体調不良や精神的ストレスによるものなのかの判断を行っていくわけです。
💦認知症を理解しないとお互いにしんどい
ここで、よくご家族からの訴えでよくあるのが
「言ったことをすぐに忘れるんです」とか
「変なことを言うんです」とか
そういった相談をよく聞きます。
認知症の診断がついていることを理解されているにもかかわらず
です。
つまり認知症の症状と本人が結びついていないんですよね。
あるいは、普段の生活のイライラが積み重なって感情を制御できていない。
ということもあるでしょう。
無理もないです、認知症の症状は様々ですが
綺麗事抜きにして言うなれば「イライラすることは当然ある」と思います。
それが例え親でもパートナーでも。
なので、まずは一歩ずつ理解していくことが大事です。
❓なぜ忘れるの?
↓これはよくある母と娘のエピソードです
・仕事に行く前に「この薬を忘れずに飲んでて」と母に伝えた。母も「わかった」と言った
・帰ってきたら薬を飲んでいなかった
・大事な薬なのに飲まないなんてどういうつもりだと声を荒げてしまった
・母は飲んだという。でも飲んだ形跡などない
・なぜ嘘をつくとさらに責めてしまうが、まだ母は事の重大さにピンと来ていない。余計に腹が立つ
・ ・・・でも母は認知症なんだ
・だから記憶力が低下もしている
・伝えたことをその時理解しても、数分後には忘れてしまう
・でもそれは母が悪いではなく病気の症状なのだ
・母はそのエピソードごと忘れてしまっているのに急に私に責められたら何が何だかわからないだろう
・じゃあ本人が「忘れてしまう」という前提で、物事の対策を練っていかないといけないな
このように、つい感情的になりぶつかりあうこともよくあると思います。
ただこの場合、娘は途中から母が認知症であるということを理解しようとし、軌道修正に図ります。
おそらくこの後、
・医師に相談して大事な薬は娘が見守りのできる夜にまとめてもらう
・ケアマネに相談しヘルパーに薬の服薬の支援に入ってもらう
などの解決に進んでいくことでしょう。
もし、ここで娘が軌道修正できず「なぜわからないの!?」と母に問いただし続ければ、精神的な負担から本人も認知症はさらに進行し、お互いにとってより辛い環境が迫ってくる事でしょう。
👹人が変わった
「父は温厚な性格だったのに、急に人が変わってしまった。」
こういった相談もよくあります。
社会的認知というものがあり、これは
相手の表情等から感情を読み取ったり、その場の状況を理解して適切な行動をとる能力のことを指します。
この機能が低下すると、その場にふさわしくない行動をしてしまったり、相手の気持ちを気遣えなくなったりしてしまうことがあります。
これも認知機能の低下によって起こることです。
つまり、“性格が変わった”のではなく、“病気の影響で変わって見える”のです
🍁その人を見てほしい
ここまで一貫して「認知症は病気」という主張を続けてきました。
というのも、私自身思うところがありまして。
その人の歴史を考えてほしいんです。
その方にも赤ちゃんの時期があり
10代は学生時代、友人と遊び恋愛もしたかもしれない
20代は就職しいろんな人に頭を下げ、それでも頑張り
30代は結婚し子供も生まれ、喜びをかみしめ
40代はその仕事ぶりに拍が付き役職が付き
50代は仕事では後継者を育て、親の介護をする歳になり
60代は子供も一人立ちし、仕事納めをする
まぁ人それぞれ色んな人生がありますが、それぞれに歴史があって、喜びや悲しみを抱きながら今があって。誰もが誰にも理解されない苦労もされてきたのだと思います。
そんな中で「認知症」という病気の症状で、人格否定をされ、ダメになってしまったというレッテルを張られるのはあまりにも辛すぎるんですよね。
そうではなくて、その人は歴史がある。偉大な歴史がある。今は認知症を患って、今まで通り動けないかもしれないけど、ただそれだけなんだ。と
たとえ病気によってできないことが増えても、その人の価値や尊厳は失われていません。
認知症の人を「病気の人」としてだけでなく、「人生を歩んできた一人の人」として見てあげてほしいのです。
🍂まとめ
というわけで今回は認知症について話をしてみました。
認知症は“記憶や判断、感情に影響を与える脳の病気”です。
家族がそのことを理解できれば、「なぜできないの?」という怒りから、「どうすれば支えられるか」という前向きな関係に変わっていきます。
私は日々、認知症の方とそのご家族が少しでも穏やかに暮らせるように支援しています。
この記事が、誰かの気持ちを少しでも軽くできたら幸いです(●´ω`●)
それではまた🍀
★おまけ★
自分の母は昔から陽気で変なことしか言わないから判断基準が非常に難しいと思う(; ・`д・´)

